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アメリカ合衆国法人に関する豆知識

米国では、株式会社を設立する条件として、州内の居住を条件としていません。アメリカ非居住者であっても株主や取締役になることができます。アメリカに会社を設立した後は、日本に営業所を登記することで、日本で株式会社として、会社運営が可能となります。会社設立アメリカ・ネバダ・ラスベガスに会社を設立する前に、ぜひとも知っておきたい、アメリカ合衆国の法人格の種類や、役職(オフィサー)とその権限・責任などについて、ご紹介します。

株主と株主総会

会社は、設立する州の制定する法律にしたがって、法人格が与えられます。州によって多少の差異があるものの、その大前提は変わりません。株式会社には、株主(オーナー)が存在します。株主とは、株式を購入して会社に資本を投資した人のことです。株主は、年に一度行われる会社の「基本的意思決定機関」である株主総会に出席する権利が与えられます。株主総会では業務執行にあたる、取締役を選出するなど、経営方針を決定します。取締役(Directors)の中から、社長(President)、書記(Secretary)、会計(Treasurer) を選出し、実質的な業務の遂行にあたることになります。この様にして設立された法人は、法的見地から一人の市民とみなされます。

取締役会、取締役と役員

株主総会で選任された取締役は、取締役会を開催し、取締役会によって業務執行に関する基本的事項を決議します。通常、取締役は会社の経営に当たりますが、一人一人の取締役として機能するのではなく、この取締役会で決議された業務を執行することとなります。そして、取締役会で決定した業務執行の意思は、取締役会が選任した役員(オフィサー:officer)に引き継がれ、執行されます。

選任する役員(オフィサー)は州により異なりますが、典型的な例は以下のようになります。
・社長 1名
・副社長 1名または複数
・秘書役 1名
・会計役 1名

多くの州では、秘書役と社長の兼職を除き、同一人物が2つのオフィサーを兼任できるか、もしくは同一人物が全てのオフィサーを兼任できます。

アメリカ合衆国の会社の類型(法人格、事業形態)の種類

Proprietorship(プロプリエターシップ)

個人事業です。経営権を有する一個人によって運営される類型です。事業から発生する債務については、経営する個人が無限責任を負います。税務上、事業から発生する利益は、個人所得として申告します。

Partnership(パートナーシップ)

日本の合資会社に該当します。経営・利益分配に参加する権利を共有する組合員の合意で設立されます。組合員は事業から発生する全債務を個人的に保証する無限責任を負います。事業から発生する利益は個人所得として税務申告を行います。

Limited Partnership(リミテッド・パートナーシップ)

全般的な経営権を持ち、事業から発生する債務に個人の責任を負う(無限責任)一般組合員と、経営権を有せずに個人責任を負わない(有限責任)組合員によって構成されます。

Limited Liability Partnership(LLP)
(リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ)

弁護士や、税理士などの一部の業種(州によって異なる)に認められるパートナーシップ。パートナーシップに参加する各組合員が、その他の組合員の責任を負わない(有限責任)とした類型。

Limited Liability Corporation(LLC)
(リミテッド・ライアビリティ・コーポレーション)

パートナーシップと、コーポレーションのハイブリッドな類型。1980年代から各州で規定された新しい法人格です。LLCは会社としての属性を維持し、全ての出資者の有限責任を認められたうえ、税務上は、事業の利益は個人所得として申告することによって二重課税を回避することができます。

Corporations(コーポレーションズ)

一般的な株式会社です。社員に提供する生命保険や健康保険、福利厚生などを所得から控除できます。資金調達は、株式を公開、販売する事によって小額の資本を複数の人から集める事が可能となります。株式の売買や譲渡が可能なので、株主の死亡やオーナーの変更に際しても、業務を止めるずにビジネスを継続できます。株主は事業から発生する債務について、個人責任を負わない有限責任となります。

税務上は、会社は事業利益を法人所得として申告し、株主への配当金はさらに個人所得として申告する、いわゆる二重課税となっています。

S Corporations(エス・コーポレーションズ)

アメリカ在住の方でないとこの会社形態を選択することはできませんので、不要な方は、読み飛ばしてください。日本在住の方は通常のC-CORPORATIONを選択することとなります。Sコーポレーションズもコーポレーションズの一種で、通常の株式会社として法的に一人の市民とみなされます。よって、会社が倒産した際などに発生する金銭的責任は有限となり、株主、オーナーとも、投資した資本以上の責任はありません。

Sコーポレーションズは、株を販売できる対象人数、つまり株主数に制限があり、発行できる株の種類も1種類に限定されていることから、小さな会社向けの法人格ということができます。

役員(オフィサー)の権限

役員の権限は、一般的に会社の定款にその概略が記載され、会社毎に異なります。多くの州では、役員がどのような役割を果たすべきか、また権限がどのようなものかを法律上は定義していませんが、典型的な実例を以下に説明します。

President プレジデント、社長

会社の業務執行責任者。会社の事業と業務を全般的に監督・運営する。
株券、契約書、証券、法律文書等に署名するなどの業務に適した役職です。

Vice President バイス・プレジデント、副社長

社長職が空席の場合、(社長の死亡、無能力状態、また法律行為ができないかそれを拒否する場合など)社長の業務を履行する。
株券、その他の会社の法律文書に署名できる。

Secretary セクレタリー、秘書役

株主総会と取締役会の議事録の作成など事務方の責任者。定款に定められた内容がなされているかの確認、会社の記録・会社印の保管、合意文書の確認、各株主名簿の管理、株券に署名、などの全責任を持ちます。

Treasurer トレジャラー、会計役

資金と担保の保全・保管、金銭受領・領収書を発行、預金管理などの責任を持つ。

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